2009-07-01から1ヶ月間の記事一覧

技術の情熱の結晶「F1」世界最高峰の自動車レースの雲行きが怪しい・・・春秋 八葉蓮華

フェラーリやランボルギーニなど、往年の名車のエンジンを手がけたイタリアの著名な技術者が、冷めた口調で語っていた。「もうF1グランプリは観戦しない。刺激を感じなくなった」。世界最高峰の自動車レースの雲行きが怪しい。 F1はレーサーだけの戦いで…

おとなの自覚、成年の年齢「18歳」若者が将来の国づくりの中心・・・春秋 八葉蓮華

「王子」なる言葉がもてはやされるのは、さわやかさや清潔さだけでなく、少年からおとなへ脱皮しようとする健気(けなげ)な若者のイメージがあるからだろう。ハンカチ王子しかり。ハニカミ王子しかり。しかし、この王子にかぶせる冠は「ハジナシ」しかなか…

認知症の予防にも有効かも「一杯のコーヒー」飲む理由が増えた・・・春秋 八葉蓮華

宗教を酒に、哲学をコーヒーに例えたのは寺田寅彦である。「宗教は人を酩酊(めいてい)させ、官能と理性を麻痺(まひ)させる」から酒。「コーヒーは官能を鋭敏にし、洞察と認識を透明にする」から哲学。よほどのコーヒーびいきだったとうかがえる。 仕事が…

政権公約「マニフェスト」綿密かつ入念な準備が選挙で勝利を呼び込む秘訣・・・春秋 八葉蓮華

「いままでで一番長い自サツの書き置き」。対立政党の公約内容をとことん酷評する。一方で自らの政権公約作りにほぼ1年を費やす。何を訴えれば、有権者の関心をつかめるのか。綿密かつ入念な準備が選挙で勝利を呼び込む秘訣とか。 日本の話ではない。10年以…

高齢ドライバーに悪評「もみじマーク」マークのデザインがどう変わろうと・・・春秋 八葉蓮華

日本文化には「翁(おきな)の思想」という伝統があった、と宗教学者の山折哲雄さんが書いている。人はいっぺんシんで神になる。だったら翁、つまり老年の人が一番神に近いところにいることになる。そうした信仰が老人への尊敬の念をはぐくんだのではないか……

おしゃれ野菜市「野菜はきれい」安心を求める消費者の心・・・春秋 八葉蓮華

けやき並木の緑が日ざしに映える東京・表参道の高級ファッションビル。正面玄関を入り、シャネル、ブルガリの店を両脇に見ながら下りエスカレーターへ。地下の休憩用広場は週末、姿を一変させる。産直の野菜やコメ、果物などを売る市場(いちば)に変身する…

かき氷で一息「夏氷の日」蒸し暑い東京の夏・・・春秋 八葉蓮華

ジョン・ルース大使が着任するまで在京米大使館で臨時代理大使を務めるジム・ズムワルト氏は、1970年代に駒場東邦高校に留学した。蒸し暑い東京の夏。ぐったりしたジム少年を生き返らせてくれたものがあった。かき氷だった。 いまでこそ日本料理は国際化し、…

夏休み「約束は守ろう」衆院選まで40日間など長いようで短い・・・春秋 八葉蓮華

どうしてあんなに風のように過ぎていったのだろう。子どものころの夏休みである。日にちはたっぷりあるぞと宿題を後回しにして、ふと気がつけば8月の末。ドリルに作文、工作、天気調べ……。始業式を控えて脂汗を流したものだ。 思えばひと夏、40日間など長い…

太陽の熱と光「太陽エネルギー」地球の未来、人間たちの知恵比べ・・・春秋 八葉蓮華

ヘロドトスの「歴史」に、日食に驚いて戦争をやめた話が出てくる。小アジアでリュディアとメディアという国が合戦に及んだとき、突如として真昼が夜になった。両軍とも狼狽(ろうばい)して和平を急いだという。紀元前585年のことらしい。 きのう、あちこち…

未解決の課題ばかり、各党の公約をじっくり検討し、この国を託す・・・春秋 八葉蓮華

契約4年、中途解雇あり、更新希望者も新人に交じり一から就職活動を。衆院議員とは大変な仕事である。そんな不安定な職に就く478人(定員480、欠員2)がきのう、失職を告げられ、万歳を唱えた。思えば不思議な習慣だ。 由来は不明らしいが一般の人にはかな…

「アポロ」1つしかない地球を大切にしようという意識の高まり・・・春秋 八葉蓮華

僕らの生まれるずっと前にはもうアポロ11号は月に行ったのに――。10年前のヒット曲「アポロ」は、そんな趣旨の一節で始まる。歌うグループのメンバーは全員、20代。若い人にとってあれは歴史上の出来事なのか、と感慨を覚えた。 40年前の7月20日(日本時間21…

閉塞感のある今「まいた種」改革は後で生きてくる・・・春秋 八葉蓮華

江戸時代、現在の滋賀県から全国に広がった近江商人からはいくつもの大商家が出た。その勢いも1800年頃(ごろ)からは陰り始めたといわれる。各地に織物、しょうゆなどの産業が興り、生産者の中から新興商人が台頭してきたためだ。 新しいライバルの出現に近…

長い老後をいきいきと過ごしたいと山に足を向けるシニア・・・春秋 八葉蓮華

それは私の心を強く捕えた。あれに登らねばならぬ――。作家の深田久弥は北海道の大雪山系トムラウシを遠望してそう決心したという。名著「日本百名山」の一節だ。「威厳があって、超俗のおもむきがある。あれに登らねばならぬ」 ツアーに加わった人たちは、そ…

自由を捨てて中央のカネにすがった全国の知事たち・・・春秋 八葉蓮華

皇居に集まってきた全国の知事たちが、いきなりクビを宣告されたのだという。ひとり残らず解職である。あまりの沙汰(さた)に大広間はどよめきに包まれたらしい。明治4年というから140年近くも昔、新政府が突如断行した廃藩置県だ。 お達しを受けたのは、…

ヤミ専従「武備目睫」奥義や秘伝はすぐそこにある・・・春秋 八葉蓮華

江戸時代、太平の世の旗本御家人に基本作法や心得を説いた「武備目睫(ぶびまつげ)」と題する書があった。奥義や秘伝はすぐそこにあるが、まつげのようにその存在に気づかない、という意味のことわざ「秘事はまつげ」に由来した書名だという。 なかにこんな…

「時勢は、人を造るものだ」首相にしたい本命が見当たらない・・・春秋 八葉蓮華

幕末に活躍した勝海舟は「大事業を仕遂げるくらいの人は、かえって世間から悪くいわれるものさ。おれなども、一時は大悪人とか、大奸物(かんぶつ)とかいわれたっけ」と言っている(「氷川清話」勝部真長編)。では今注目の麻生太郎首相は? 「決断力がない…

シェア1位が長く続いた結果、自己中心の天動説に陥っていた・・・春秋 八葉蓮華

いつまでも王座を守れるわけではない。そう覚悟はしていたはずだった。それでも現実の数字を見るまで、本当の敗北の苦い味は知らなかった。キリンホールディングスの加藤壹康社長の転機は、米国に駐在していた43歳のときにきた。 1987年、ライバルのアサヒビ…

「励まされる言葉」人の気の移ろい、人垣はどこへ消えたのか・・・春秋 八葉蓮華

スポーツジャーナリストの二宮清純さんによれば、選手に一番印象に残っている言葉を聞くと、例外なく調子の悪いときかけてもらった言葉を挙げるという。「どん底時代のことほど記憶に残るんでしょうね」。将棋の羽生善治さんとの対談でそう語っている。 人垣…

SFアニメ、ガンダム「実物大」中央政府と地方独立軍の戦い・・・春秋 八葉蓮華

きのう正午ごろ。行列の最後尾に立つ係員のプラカードには150分待ちの文字が躍る。米国生まれの人気テーマパークでの話ではない。高さ18メートルの「実物大」ガンダム像がお目見えした東京・台場の公園で見た光景だ。この日から正式な一般公開が始まった。 …

目に見えぬロボットが世界を荒らし回っている・・・春秋 八葉蓮華

目に見えぬロボットが世界を荒らし回っている。韓国や米国の政府機関や銀行、証券取引所などのウェブサイトを集中的に狙ったサイバー攻撃のことだ。使われているのは「ボット」というウイルス。ロボットをもじった言葉だという。 そう名付けられただけあって…

JR福知山線の事故「忘れていたもの」無理を重ねた組織の過ち・・・春秋 八葉蓮華

全国にはいくつも「東西線」がある。東京メトロ東西線をはじめ札幌や京都の地下鉄にもその名はあって、仙台でも同名の地下鉄路線を建設中だ。なにしろ分かりやすいから多用されるのだろう。12年前には大阪にも東西線が誕生した。 商都の真ん中を横断するJR…

「共通の信念と責任」経済、貿易、環境……。中国抜きではどれも進まない・・・春秋 八葉蓮華

国力は栄枯盛衰がつきものである。時の移り変わりとともに国家間の力関係も浮き沈む。大航海時代に席巻したポルトガルやスペイン、産業革命で世界を主導した英国。冷戦終結で唯一の超大国になった米国も金融危機でしぼみがちだ。 毎年恒例の主要国首脳会議(…

紅白の服と三角帽に黒めがね「くいだおれ太郎」がもうすぐ道頓堀に・・・春秋 八葉蓮華

1年前のきょう、大阪の繁華街、道頓堀から1人の人気者が姿を消した。紅白の服と三角帽に黒めがね。飲食店の店頭で愛嬌(あいきょう)を振りまいた人形、くいだおれ太郎のことだ。閉店の日は大勢のファンが別れを惜しみ、その後は全国各地の催しに出席する…

サミットの舞台、大地震被災地「ラクイラ」世界の指導者が集結する・・・春秋 八葉蓮華

「ラクイラ」という地名に首をかしげ、慌てて地図を開く。イタリア半島の中ほどにある人口7万人の小さな町。大地震が襲い、約2000人の死傷者が出たのは3カ月前だった。中世に栄えたこの自治都市が今年のサミットの舞台となる。 もともとは地中海のリゾート…

日本初の大型パソコン専門館「ザ・コン」日本企業の培った価値に新たな光・・・春秋 八葉蓮華

上京直後の理科系学生にスパイ、キャンペーンガール、ヤクザにハッカー。こんな面々が強盗団の立てこもりに巻き込まれる大騒動を描いた小説がある。若者に人気の作家、今野敏氏の「アキハバラ」だ。パソコン関連の専門店ビルが事件の舞台になっている。 作品…

非常事態「IOU」I owe you 私はあなたに借りがある・・・春秋 八葉蓮華

海外旅行から日本に帰国した後で、使い残した外国の紙幣を財布の中に見つけると、不思議な気分になる。昨日まで普通に使っていた本物のお金なのに、今日は場違いな紙片に見える。玩具の「人生ゲーム」のお札が紛れ込んだようだ。 紙幣には「信用」という名の…

「3人乗り自転車」歩く人の恐怖心と自転車を漕ぐ母親の苦労・・・春秋 八葉蓮華

「エコ」じゃなくて「エゴ」だよ。今月解禁された3人乗り自転車をめぐって、そんな意見をあちこちで耳にした。「物、彼(か)れに非(あら)ざるはなく、物、是(こ)れに非ざるはなし」と中国の「荘子」にある。どんなことも見方次第でああもこうも言える…

「水俣病の悲劇」司法判断にも背いて幅広い救済をためらい、迷路に追い込んで・・・春秋 八葉蓮華

夕景の不知火海を飽かず眺めていたことがある。九州本土と天草諸島に挟まれたこの内海は日が落ちるころがひときわ美しい。赤々と染まる鏡面のような海、青黒くたたずむ大小の島影。やがて、それもこれも夜の闇に溶け込んでいく。 知らなければ、ここで水俣病…

国立メディア芸術総合センター「ポンチ絵」とりあえずハコモノのポンチ絵を描いてみました・・・春秋 八葉蓮華

霞が関用語のひとつに「ポンチ絵」というのがある。政策をかみ砕いて説明しましょう、というときの図解やイラストのことだ。幕末に英国人チャールズ・ワーグマンが創刊したマンガ雑誌「ジャパン・パンチ」に由来する言葉らしい。 それがなぜ今もお役人の世界…

アメリカは密約の公文書公開、独りで続けるつもりごっこは、さぞやしんどかろう・・・春秋 八葉蓮華

貧乏長屋住まいの八つぁん、家財道具一つないのが何とも寂しい。一計を案じて絵の先生を招き、壁にたんすや鏡台から火鉢、槍(やり)、はては応挙の掛け軸まで一切合切描いてもらう。いい気分で寝ていると新米の泥棒が入ってきて……。落語「だくだく」である…