2010-07-01から1ヶ月間の記事一覧

ありのままの姿を示す、数字という事実は何より雄弁・・・春秋 八葉蓮華

公的資金の助けを借りる会社の経営は、ふつう参考になりにくい。が、なるほどと思う例外があった。半導体大手エルピーダメモリの坂本幸雄社長の話だ。「社員を動かすのはそう難しくない。業績の数字をそのまま示せばいいだけだ」 エルピーダの経営を8年前に…

未来への展望を開く手段として社会的企業が期待を集め、活動が盛んになってきた・・・春秋 八葉蓮華

ヒン困、衛生、教育などの社会的課題を、服の生産、販売を通じて解決する。ユニクロを展開するファーストリテイリングが、バングラデシュでヒン困層への事業融資を手がけるグラミン銀行と提携した理由だ。一種の社会事業と説明する。 社会問題をビジネスの手…

自分たちでという住民の意気「みんなの花火大会」花火大会が続々と復活している・・・春秋 八葉蓮華

夏の風物詩である花火が本当に好きなのだろう。岩手県一関市や長野県須坂市、広島県大竹市と世界同時不況のあおりで昨年中止になった各地の花火大会が続々と復活している。スポンサー役の企業の財布のひもが緩んだわけではない。 住民からの寄付、有料観覧席…

猛暑が続く日本列島、ぬぐってもぬぐっても、噴き出す汗、汗、汗・・・春秋 八葉蓮華

エアコンのない昔の夏はどんなにつらかったか。野村芳太郎監督の古い傑作「張込み」を見て思い出した。刑事が犯人を追い夜行列車で九州へ向かう。この車内がシぬほど暑そうだ。ぬぐってもぬぐっても、噴き出す汗、汗、汗である。 映画が公開された1958年当時…

おまえだろう「似ている」から「同じ」までの距離を埋める・・・春秋 八葉蓮華

犯罪を防ぐ切り札も使いようでは冤罪(えんざい)を生む凶器になる。あらためてそう思い知った。石川県で起きた窃盗事件で、コンビニの防犯カメラに残った映像をもとに起訴された男性が別人と分かり、先日の裁判で検察自ら無罪を求めたのだ。 映像を本人とて…

「パリ祭」シャンソンの本丸パリ・オランピア劇場で日本人ではじめてリサイタル・・・春秋 八葉蓮華

はじめてリサイタルを開いたのは敗戦2年後の7月14日だった。たまたま会場があいていただけという日がフランス革命記念日。運命なのだろう。日本で「パリ祭」と呼ばれたその日が、シャンソン歌手石井好子さんの代名詞になった。 若き石井さんが名を成してい…

「注文型教育」全国から優秀な学生を集め、企業が欲する未来の研究者を育てている・・・春秋 八葉蓮華

韓国に「キロギ・アッパ」なる言葉がある。キロギは渡り鳥の雁(がん)、アッパは父さん。幼い子供を妻同伴で海外留学させ、自分は残って学費や生活費を稼ぐ。妻子のもとを訪ねるのはせいぜい年1回。そんな父さんを渡り鳥になぞらえる。 教育熱は日本以上と…

「平和を希求する紙幣」ミレニアム(千年紀)記念事業として発行された二千円札・・・春秋 八葉蓮華

満10歳の誕生日おめでとうと祝いたいところだけれど、最近めったに姿を見かけない。10年前のきょう、ミレニアム(千年紀)記念事業として発行された二千円札の話だ。あのころ、手にした新札を物珍しく眺めた方も多かっただろう。 当時、小渕恵三首相は「アポ…

東京都心と成田空港を結ぶ鉄道新線、成田スカイアクセス・・・春秋 八葉蓮華

優秀だが、少し使いづらい。名門大卒の新入社員の話ではない。きのう開業の東京都心と成田空港を結ぶ鉄道新線、成田スカイアクセスに乗ってみた感想だ。初日ということもあり、改札口や乗り場で戸惑う客を多く見かけた。なぜか。 所要36分と従来より15分短縮…

コストを抑え、外部調達を増やしている。その落とし穴・・・春秋 八葉蓮華

そのころ茨城県の日立市は、まだ日立村といっていた。明治時代の末に、この地で生まれた日立製作所は、早々に窮地に立たされた。発電所で使う変圧器など、つくり始めた製品が、相次いで約束した納期に間に合わなくなったからだ。 「注文者から甚だしく責め立…

足元が定まらない、連立相手のご機嫌を取り、結局はなんにもできない・・・春秋 八葉蓮華

真ん中、とんび、こんぶ、そのまんま……と並べてみたのは何かの呪文(じゅもん)じゃない。強調したり発声しやすくしたりするために「ん」が加わった言葉たちだ。「ん」ひとつでグッとくだける日本語の妙。専門的には撥音(はつおん)添加というそうだ。 「皆…

「すかたん」はやり廃りを繰り返しつつ国の酒量は減っていく・・・春秋 八葉蓮華

「すかたん」といえば、間抜けの意味。ときとして見当違いのことをしでかした人をののしっていう言葉にもなる。ここまでは辞書にもあるのだが、昨今流行している飲み物がその昔「スカタン」とも呼ばれていたとは、知らなかった。 スカッチ・アンド・炭酸。そ…

不条理との戦い「公平」最近の話題に限っても枚挙にいとまがない・・・春秋 八葉蓮華

いつか公平な世の中に。10日に亡くなった劇作家、つかこうへいさんのペンネームの由来といわれた言葉だ。ご本人は別の来歴を明かしてもいるが、ひらがな6文字が並ぶこの名前からは、ほぼ反射的に「公平」を思い浮かべてしまう。 在日韓国人の2世だった。差…

起伏の激しい世論が生む風を制するのは、どんな政権であっても容易ではない・・・春秋 八葉蓮華

いなさ、あおぎた、ひかた、ひばりごち、かいよせ……。さて何のことかといえば、土地土地でさまざまに吹く風についた名だ。台風のときの強風だったり季節の変わり目を告げる静かな風だったり。こういう名前が全国にあまたある。 目まぐるしい四季の移ろいと、…

高齢化に備えてつくってきたはずの制度がいま、音をたててきしんでいる・・・春秋 八葉蓮華

町を徘徊(はいかい)し、行方不明になる高齢者は江戸時代もいた。鬼頭宏著「文明としての江戸システム」が京都の記録を紹介している。姿を消した人は「つねづね申す言も揃(そろ)ひ申さず」。話す内容がばらばらで、意味がとれないことが多かった。 江戸時…

民族の誇りと、やってみなはれ精神、自分たちの手で負けないものを作ろう・・・春秋 八葉蓮華

中国の女子大学生、趙さんは追い詰められていた。母が職を失い、皿洗いの収入だけでは生活費にも事欠いた。学費稼ぎに始めたのがネットでの特産品販売だ。反対した母も客との応対をこなすようになり、今や人気ページに成長した。 「中国巨大ECサイト・タオ…

「シャツ・イン・パンツ」公的な場面ではイン、というのが人の世の知恵・・・春秋 八葉蓮華

良医病子の八葉蓮華 〔創価学会 仏壇〕 春秋 日本経済新聞 7/9 若い人はそれを「シャツ・イン・パンツ」と呼び、おじさんの象徴と見なしているらしい。普段着のときでもシャツの裾(すそ)をズボンの中にたくし込む、あの流儀のことだ。インかアウトかの分か…

所詮、どうせと言ってる限り、明るい明日は来ませんよ・・・春秋 八葉蓮華

ちんぷんかんぷんならぬ「ちんぷん漢語」。明治時代になって法律に難しい術語が使われだすと、世はこう言ってからかった。年金型生命保険の二重課税は違法だと断じた最高裁判決に出てくる「支分権」なども、ちんぷんの類だろう。 そんな言葉を脇に置けば、判…

韓流や日流の相互理解が両国の新たなきずなをはぐくみつつある・・・春秋 八葉蓮華

韓国で探し当てた昔の海賊版レコード。音盤に記された歌の名は「ブルー・ナイト・ヨコハマ」。声楽家の田月仙(チョンウォルソン)さんが「禁じられた歌」に書いていた。1960年代末のいしだあゆみさんのヒット曲「ブルー・ライト・ヨコハマ」だ。 日本の大衆…

「闇の列車、光の旅」移民も難民も今後の日本と無関係ではない・・・春秋 八葉蓮華

米国も厳しい国だが、このままこの国にいても未来はないから。そんな会話の後、少女と父は中米の国、ホンジュラスからメキシコを抜け米国を目指す。公開中の映画「闇の列車、光の旅」は、米国に押し寄せる不法移民らの旅を描く。 日系の若手米国人監督の初長…

「子孫」ならぬ「我々」の幸せのために、働き、働いて、働きぬかなければ・・・春秋 八葉蓮華

今年はロシアの文豪チェーホフの生誕150年だ。ロシアのメドベージェフ大統領もファンの一人という。「我々は働き、働いて、働きぬかなければ。ずっと後の子孫の幸せのために」。最近もチェーホフのこんな言葉を披露していた。 先に訪れた米スタンフォード大…

海外への売り込み、創意工夫があってこそ、需要をつかめる・・・春秋 八葉蓮華

紡績業は日本の近代化を担った産業のひとつだ。が、明治時代の初め、全国各地に生まれた工場は多難なすべり出しだった。政府から払い下げを受けた英国製の機械が大量生産に向かず、製造コストがどんどん膨らんでしまったからだ。 残念ながら、自力で経営を立…

日本の観光立国「おもてなしの心」人をもてなすのは難しい・・・春秋 八葉蓮華

人をもてなすのは難しい。つくづくそう思ったのは5年ほど前、北京に駐在していた時のことだ。福建省の山あいに住む知人が、政府に陳情するため北京にやってきた。慰労と取材をかねて夕食に招待したのだが、これが大失敗だった。 食事の場所として選んだのは…

PK戦「すさまじきもの」どちらか不運なほうを振るい落とすための仕掛け・・・春秋 八葉蓮華

枕草子に「すさまじきもの」を並べ立てた段がある。「昼ほゆる犬、春の網代、三、四月の紅梅の衣」と続く有名なくだりだ。古語の「すさまじ」は興ざめする様子のこと。昇進の前祝いをしてアテが外れたとき、という例も出てくる。 そういう言葉が今は逆の意味…