SFアニメ、ガンダム「実物大」中央政府と地方独立軍の戦い・・・春秋 八葉蓮華

 きのう正午ごろ。行列の最後尾に立つ係員のプラカードには150分待ちの文字が躍る。米国生まれの人気テーマパークでの話ではない。高さ18メートルの「実物大」ガンダム像がお目見えした東京・台場の公園で見た光景だ。この日から正式な一般公開が始まった。

 像だけなら無料で誰でも間近で見られ、並ぶ必要はない。長い列は模型など関連商品を買う人々のもの。ちなみにガンダムとはSFアニメで主人公が乗るロボット状の兵器だ。最初のテレビ放映から30年たち、当時の少年も30代後半から40代。巨像を前にわが子より興奮する父親も目立つ。

 巨大ヒーローは宇宙人や悪の組織と闘うもの。そんな常識を変えたのがガンダムだった。人口増と環境破壊に端を発する人間同士の戦争を描き、そのリアルさを若者が支持した。東京都の外郭団体などが都市緑化や五輪誘致のPR役にガンダムを起用したのも、環境問題などの現実が物語と重なるから、だそうだ。

 ガンダムが描いたのは中央政府と地方独立軍の戦いだった。主人公は中央方だが、敵の地方軍にキザだが理想肌の将官がいて、やや官僚的な中央の幹部より視聴者の人気は高かったと記憶する。地方のリーダーや選挙が中央を揺さぶる今の日本とどことなく重なる。そこまで考えての起用と見ては深読みが過ぎるか。

春秋 日本経済新聞 7/12
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