2009-02-01から1ヶ月間の記事一覧

情熱、いい雰囲気、夢や誇りをもてるようになる14年ぶりの金メダル・・・春秋 八葉蓮華

秒差ゼロの大接戦を計ったように突き抜けた。ノルディック競技の世界選手権複合団体で日本が14年ぶりの金メダルに輝いた。「飛んで走れる」バランスのとれた総合力。地道だが、堅実な努力が複合力として花開いたのではないか。 キング・オブ・スキーといわれ…

「文化財」歴史に翻弄され、今なお世界をさまよう・・・春秋 八葉蓮華

まだ去年の出来事だからご記憶の方も多いだろう。鎌倉時代の名匠、運慶作という仏像がニューヨークで競売にかけられ、国宝級の文化財が海外流出か、と耳目をひいた1件だ。仏さまは結局、日本の宗教法人に渡って騒ぎは収まった。 あのときのオークション会社…

ホワイトハウスでもてなされてる間に勝手に内閣改造案・・・春秋 八葉蓮華

直訳するなら「人は第一印象をつくる第二の機会を決して得られない」となる英語の成句がある。「第一印象が一番長持ちする」「最初の一撃で勝負は半ば決まる」などと同様、初めての出会いで相手にどんな感じを与えるかは大変大事なこと、と教えている。 オバ…

「ぼくと1ルピーの神様」アカデミー賞の8部門を独占、グローバル化・・・春秋 八葉蓮華

事改めて言うと、日本の「おくりびと」が受けた賞は外国語映画賞であって外国映画賞ではない。インドの俳優を英国人監督が演出した英国映画が作品賞、監督賞はじめ米アカデミー賞の8部門を独占できたのは、外国映画だけれど外国語映画ではないからだ。 その…

「ルーリン彗星」数万年の旅をする彗星を眺めて、気分を少しゆったり・・・春秋 八葉蓮華

まさに天文学的数字になる太陽系内の距離を測る“物差し”の「天文単位(AU)」は1AUが約1億5000万キロメートルと、人間の感覚からかけ離れている。さらに太陽系外の距離単位「パーセク」になると、1単位がAUの約20万6000倍だ。 世界天文年の今年最初の…

バベルの「塔」伝説は天に届こうとした人類の野心・・・春秋 八葉蓮華

「塔をめあてにまつすぐまゐる」――。漂泊の俳人、種田山頭火が晩年の四国遍路で、こんな風変わりな一句を詠んでいる。破れた衣をたなびかせ、すたすた足を進める姿が目に浮かぶ。昭和14年の香川県。目指す先は善通寺だった。 遠くに五重塔を見定める山頭火の…

スマートでおしゃれな今風の倹約術「若い世代」次々に・・・春秋 八葉蓮華

「歌は世につれ」という。同様にスターや人気者も時代の空気を映す。手軽に作れ、見た目もかわいい自炊料理の本が3冊で60万部のヒットとなったSHIORIこと岡田史織さん(24)も、今の日本ならではの人気者の1人だろう。 「同年代のリアリティー」を大切…

闇の後に必ず光が来る。新しい1日が始まる・・・春秋 八葉蓮華

首相官邸に取材に行った時にトイレを拝借した。教えられた方向は真っ暗。遠慮せずに進むと、明かりがつく。いまは珍しくない省エネシステムだが、官邸のトイレは窓のない場所にあり、本当に真っ暗だ。知らないと戸惑いを感じる。 官邸は厳重な検査を通った人…

「きょうの料理」台所と食卓のたたずまいをも揺らす少子化の波・・・春秋 八葉蓮華

無頼派などと呼ばれた作家の檀一雄は「食」への執念のすさまじい人でもあった。といっても有名店を食べ歩くようなグルメではない。自ら買い出しに出かけ、包丁を握り、煮炊きして、ありとあらゆる料理を縦横にこしらえたという。 そのレシピをまとめた「檀流…

「卵の側に立つ」戦争を前にして、何ができるのか・・・春秋 八葉蓮華

熟慮の末の決断だったに違いない。辞任したどこかの大臣ではなく、世界中にファンを持つ作家、村上春樹さんの話である。イスラエルのエルサレムで文学賞の授賞式に臨んだ彼はガザ地区への攻撃を周到に、そして手厳しく批判した。 その講演は体制を高く固い壁…

「身から出た錆」世界が注目する異様な姿・・・春秋 八葉蓮華

「身から出た錆(さび)」。この言葉はもともと、無精なお侍を戒める意味があったらしい。身とは刀身のことである。少しでも手入れを怠ると鞘(さや)の中で錆がまわり、いざ真剣勝負の段を迎えても使い物にならず自滅してしまう、という教えだ。 G7の後の…

「回らぬろれつ」代理を立て、風邪気味なら酒を控えなさい・・・春秋 八葉蓮華

春になると自然界の生き物はみんな元気になる。ただしヒトは例外らしい。物理学者の寺田寅彦が「急に頭の中が萎縮し、なんとなく空虚と倦怠(けんたい)を感じる」と随筆に書いている。先週土曜日の20度、25度という時ならぬ気温に、眠気を誘われた方もいよ…

半世紀の軌跡「新幹線」歴代の面々・・・春秋 八葉蓮華

昭和39年の東京五輪と新幹線は、記憶の同じ引き出しに入っている。五輪の開幕式が10月10日。直前の10月1日に東海道新幹線は開業した。熱気の中を世界最高速の「夢の超特急」が駆け、日本人は伸びゆく国の未来を思い描いた。 初代車両から最新型まで、先頭車…

みんな満遍なくお日様が当たるように生きているんです・・・春秋 八葉蓮華

「畑のダイコンが動いているの知ってますか」。ギョッとしていると、その生産者は楽しそうに話してくれた。「種を植えてから収穫まで毎日少しずつ、動いてるんですよ。畑から出てあちこち歩くわけではないですけど」と笑わせる。 日の出から日没まで時計回り…

無から有を掘り起こした「バレンタインのチョコレート」・・・春秋 八葉蓮華

苦戦続きの百貨店で、お菓子売り場が頑張っていると聞き、見に行った。バレンタインデーを前に、ハートの花が満開である。チョコレートにケーキばかりか「恋しぐれ」「懸想文(けそうぶみ)」「心よせ」という名の和菓子、ハート形モナカ・どら焼きまでが並…

「振り込ませない振り込め詐欺」なんとかこれをゼロにもっていきたい・・・春秋 八葉蓮華

1866年2月13日は米国で初めて、白昼の銀行強盗が発生した日とされる。襲われたミズーリ州の小さな町の銀行は歴史博物館になっていて、犯人ジェシー・ジェームズゆかりの品を展示しているという。(岡田泰男著「アメリカの夢アウトローの荒野」) 日本の警察…

「司馬遼太郎忌」近江路に菜の花咲いて・・・春秋 八葉蓮華

「菜の花忌」は2つあり、今日のは司馬遼太郎忌、そして、ひと月後の3月12日には日本浪曼(ろうまん)派の詩人伊東静雄の忌日がくる。司馬忌の命名は「野に咲く花、とりわけタンポポや菜の花といった黄色い花が好き」だったことにちなむ。 「全島が菜の花の快…

1滴の毒が見えぬままサッと広がってしまうような怖さ・・・春秋 八葉蓮華

あまり使われなくなったが、「米びつをかじる」という言葉がある。「少しはその道のことをわきまえている」といった意味だ(日本国語大辞典)。かじりまくったはいいが、わきまえたのはひたすら己の米びつを潤す道だけだったか。 事故米の不正転売事件できの…

「左利き」世界的な左利きの日は別にある・・・春秋 八葉蓮華

ナポレオン、ビル・クリントン、ビル・ゲイツ、バラク・オバマ、チャールズ皇太子、石原慎太郎……。著名人を順不同で並べた。彼らにはひとつの共通点がある。オバマ大統領が最初に大統領命令に署名した場面を思い出してほしい。 そう、いずれも左利きなのだそ…

古いものの中の、もの凄い前衛性を掴み出す・・・春秋 八葉蓮華

画家の作風を評して「芸域が広い」とはおかしな言い方だろうか。東京・六本木の国立新美術館で没後5年の回顧展が開かれている加山又造にはぴったりに思える。画材も手法も一つの型にはまらぬ仕事ぶりに、変化し挑戦し続けた人だったと改めて納得する。 本人…

「炎上」普通の人たちが激しい言葉の暴力を繰り出し、抑えがきかなくなっていく・・・春秋 八葉蓮華

「おりからの強風にあおられて神社の本殿が燃焼し……」。その昔、こんな火事原稿を差し出してデスクに「バカヤロー」と怒鳴られた記者がいたそうだ。「炎上」と書くべきを「燃焼」とやったわけで、新聞社の伝説のたぐいである。 誰が言い出したのか知らないが…

「打ち出の小づち」財政規律など吹っ飛んでしまいかねない・・・春秋 八葉蓮華

打ち出の小づちがあったらなあ。そんな夢を抱くのは今も昔も変わらぬ人の情けだ。大黒天や一寸法師の物語では、これを一振りすれば金銀財宝が飛び出してくる。そういう欲念につけ込んでお金を巻き上げるのは詐欺師の常道だろう。 幹部らが一斉に逮捕されたL…

「高官ニ昇リ富貴ノ人トナル」明治以来の日本の姿・・・春秋 八葉蓮華

人生の目標は「高官ニ昇リ富貴ノ人トナル」ことだ。そのためには一に勉強二に勉強。「勉強ハ富貴ヲ得ル資本」である。明治初年の「穎才(えいさい)新誌」なる投稿雑誌には若者のそんな声が満ちていたという(竹内洋「立志・苦学・出世」)。 維新を遂げて能…

ケチとそしられようと「消費をいたずらに減らすのはむしろ罪だ」・・・春秋 八葉蓮華

ケチのことを「6日知らず」という。1日2日……と指折り数えて5日で握り拳ができる。6日からは指を開いていかねばならない。握ったものを開くなんてとんでもない。欲深は何でもほしがり、ケチは一度手に入れたら放さない。そんな違いもよく分かる。 しかし当節…

逆境をテコに、新市場と雇用を創出した、七転び八起き・・・春秋 八葉蓮華

何かを必死に我慢しているのか。ふざけて人を笑わせようとしているのか。縁起物の赤いだるまの顔は見ていて飽きない。商売繁盛に合格祈願。そして選挙。人々の不安な心を映しているのだろう。だるまの売れ行きが好調だと聞いた。 だるまは浅間山と浅からぬ縁…

「携帯電話」使ってはいけない場所、来ていただかなくて結構・・・春秋 八葉蓮華

ローマでの試合後、女子プロテニスのナブラチロワ選手が記者会見でこう言って喝采を浴びたことがある。「そんなにお忙しいなら、来ていただかなくて結構」。女王と称された人だからこそではあろう、コートに響いた携帯電話の着信音に文句をつけたのだ。 それ…

「世界は手に負えない」モノの獲得にモノの消費、ここで我らの力は尽きる・・・春秋 八葉蓮華

工場の景観を眺める趣味の人々がいる。そびえ立つ煙突に胸を躍らせ、巨大なタンクに息をのみ、複雑にからみ合う配管に目を見開く。「工場・コンビナートに萌(も)える会」に1万6000人の会員が集まり、見学ツアーも人気を呼んでいる。 夜間照明を浴び、闇に…