目に見えぬロボットが世界を荒らし回っている・・・春秋 八葉蓮華

 目に見えぬロボットが世界を荒らし回っている。韓国や米国の政府機関や銀行、証券取引所などのウェブサイトを集中的に狙ったサイバー攻撃のことだ。使われているのは「ボット」というウイルス。ロボットをもじった言葉だという。

 そう名付けられただけあって、このロボットはハッカーによる遠隔操作でネット空間を自在に動く。まずは家庭や会社にある無数のパソコンを乗っ取り、そこから攻撃対象のサイトに大量のデータを送りつけてパンクさせるのだ。知らずに加害者になった端末は韓国だけで2万台。これにも障害が出ているらしい。

 やりたい放題のロボットを操っている黒幕はどこにいるのだろう。暴走するかの国では……と思いがちだがマニアの仕業との見方もあるという。ともあれ、これは大掛かりなテロ行為だ。日本のサイトが襲われる恐れも十分にあるから、その発信基地にされないよう手元のパソコンにも用心を重ねるしかあるまい。

 ロボットといえばチェコの作家カレル・チャペックによる造語だ。人間に使われていたロボットたちが団結して反乱を起こす。そんな物語をこの文明批評の先達は90年ほども昔に紡ぎ出した。底知れぬ悪意をまとわされた21世紀のサイバーロボットも良心を取り戻し、ハッカーを懲らしめてくれないものだろうか。

春秋 日本経済新聞 7/11
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