政権公約「マニフェスト」綿密かつ入念な準備が選挙で勝利を呼び込む秘訣・・・春秋 八葉蓮華

 「いままでで一番長い自サツの書き置き」。対立政党の公約内容をとことん酷評する。一方で自らの政権公約作りにほぼ1年を費やす。何を訴えれば、有権者の関心をつかめるのか。綿密かつ入念な準備が選挙で勝利を呼び込む秘訣とか。

 日本の話ではない。10年以上にわたり保守党政権を率いた英国のサッチャー元首相だ。「マニフェストが英国総選挙で極めて重要なことが、外国の人々の目にはいささか奇妙に映るようだ」と本紙掲載の回顧録にある。議会制民主主義で日本の先輩格の英国では、19世紀から選挙にマニフェストが使われたという。

 日本では「宣言」という訳語がかつて主流だった。代表例は「共産党宣言」だろう。政権公約の意味で市民権を得たのは2003年、衆院選民主党が発表して以来だ。ただ発音の力点はフェ。マに力点を置く人が多いが、これだと「明白な」という意味の綴(つづ)りの違う形容詞になる。中身が明白ならそれもよしか。

 表紙に「政権交代。」の赤い太文字と鳩山由紀夫代表の顔写真。民主党マニフェストを公表した。グラフも駆使した20ページ強の小冊子だ。内容に物足りなさも感じるが、大切なのは量より質。実現可能性だ。自民党と早く比較したいものだが、くれぐれも「もっとも長い遺書」などと酷評されないように願いたい。

春秋 日本経済新聞 7/28
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