「アポロ」1つしかない地球を大切にしようという意識の高まり・・・春秋 八葉蓮華

 僕らの生まれるずっと前にはもうアポロ11号は月に行ったのに――。10年前のヒット曲「アポロ」は、そんな趣旨の一節で始まる。歌うグループのメンバーは全員、20代。若い人にとってあれは歴史上の出来事なのか、と感慨を覚えた。

 40年前の7月20日(日本時間21日)、人類は初めて月に立った。米国での同時中継の視聴率は95%。近く人類は他の星にも行くと科学者が弊紙の座談会で語る。だが税金の無駄遣いとの批判から3年後アポロ計画は打ち切り。先週末には着陸中継のキャスター、クロンカイト氏の訃報(ふほう)も届き興奮がまた1つ遠のく。

 宇宙に出た飛行士は、まず大きく青い地球の美しさ、生命感に目を奪われる。しかし月まで離れると違ってくる。地球がデリケートで、もろく、はかなく、弱々しく、今にも壊れそうに思えたと15号の乗員は語っている(立花隆「宇宙からの帰還」)。記録映像などを見て同じように感じた方もきっと多いだろう。

 外に楽園を求めず、1つしかない地球を大切にしようという意識の高まりに、月からの目が果たした役割は大きかったのではないか。冒頭の歌はアポロ100号はどこまで行けるだろうと結ぶ。しかし今や身近な生活環境こそ人類共通のフロンティア。月着陸は当時思われたのと逆の意味で歴史の転換点になった。

春秋 日本経済新聞 7/20
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