「共通の信念と責任」経済、貿易、環境……。中国抜きではどれも進まない・・・春秋 八葉蓮華

 国力は栄枯盛衰がつきものである。時の移り変わりとともに国家間の力関係も浮き沈む。大航海時代に席巻したポルトガルやスペイン、産業革命で世界を主導した英国。冷戦終結で唯一の超大国になった米国も金融危機でしぼみがちだ。

 毎年恒例の主要国首脳会議(G8サミット)がイタリアで開幕した。きょうのG8と中国やインドなど新興国との拡大会合が実は本番とされたのに、肝心の中国の国家主席ウイグル暴動を受け急きょ帰国した。経済、貿易、環境……。中国抜きではどれも進まない。中国主席の不在が中国の存在を一層際立たせる。

 中国は今年か来年中にも日本を抜き、世界第2位の経済大国にのし上がる。経済規模からみればれっきとした主要国だろう。中国をサミット正式参加国に加えるべきだとの議論が一部に浮上するゆえんか。米オバマ政権は中国が加わるG20金融首脳会合の議題に温暖化や核軍縮なども加え、定例化を目指すという。

 だが、時によって主要国と途上国の立場を使い分けるのが中国の外交手法だ。「我々がここに集ったのは共通の信念と責任を分かち合っているからだ」。1975年、初サミットのランブイエ宣言でうたった共通の信念と責任を中国は分かち合えるか。まずはウイグル暴動をどう収拾するか。世界は注視している。

春秋 日本経済新聞 7/9
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