2009-01-01から1ヶ月間の記事一覧

旧暦の月末は、夜の暗い新月の時期にあたる・・・春秋 八葉蓮華

[春秋(コラム)]旧暦の月末は、夜の暗い新月の時期にあたる・・・春秋 八葉蓮華 早いもので1月も今日限り。毎月の最後の日が晦日(みそか)だが、正月は特に初晦日・晦日宵・晦日節(ぜち)の異称があり、年始回りに行けなかったところを訪ねて年賀を済ませ…

生活支援金として「生活の足しに」・・・春秋 八葉蓮華

欲しいと言った覚えもないのに、お金を寄越すという。じゃあ頂こうと思ったら「あなた、お金持ちじゃないでしょうね? 裕福なのに、もらおうなんてサモシイ」ときた。さすがに「サモシイ」は取り消されたが定額給付金は、やはり訳の分からないカネだ。 補正…

絵心、詩心を注ぎ込んだデザインで「角が立つ」・・・春秋 八葉蓮華

話題の物件は探し回らなくても見つかった。なにしろ紅白に塗り分けてあるのだから。正面の壁は赤と白8本ずつの横縞(よこじま)。郵便受けは、真っ赤な昔のポストの形だ。頭に円錐(えんすい)の陣笠(じんがさ)を載せた円筒が、煙突のように屋根から突き出…

「イソガバ、マワルナ」何事ももたつく世の中で・・・春秋 八葉蓮華

東京に桜が舞う4月初旬、米ジョージア州オーガスタでゴルフの祭典「マスターズ」が開幕する。南部の紫外線は強烈だが、朝晩はひんやり心地よい。新緑の絨毯(じゅうたん)に赤やピンクのアザレア、可憐(かれん)なハナミズキの花盛り。誰もが心浮き立つ。 1…

「総理」うちは犬が一番偉い・・・春秋 八葉蓮華

シンガーソングライターの陣内大蔵(じんのうちたいぞう)さんはおじいさん以来3代続いた牧師一家。この家族は名前が面白い。大蔵さんの父の厚生(あつお)さんは、1938年1月11日生まれ。この日に厚生省が内務省から分離、独立した。だからこの名前とか。 厚…

未来を夢みる力、未来らしい未来の姿・・・春秋 八葉蓮華

「あ、これ見た」「私は行列が長くて見損なったの」。年配の男女が興奮気味に語る。先週東京・上野で始まった大阪万博の回顧展は共通の思い出に盛り上がる同窓会のようだ。昔の展示物に記録映像。流行の先端を採り入れたコンパニオンの制服も復元した。 使用…

大寒から立春の今ごろ一番冷え込む・・春秋 八葉蓮華

北日本、東日本が一番冷え込むのは今ごろ、大寒(だいかん)から立春の間だ。各地の気象台・測候所で過去最も低い気温を観測した日は、中部以東では1月下旬に集中する。北海道・旭川で本邦最低気温をマークしたのは、107年前の今日である。 マイナス41度。…

「ポンド下落」人を結びつけるコインを作りたかった・・・春秋 八葉蓮華

英国内で流通する硬貨の数は推定で280億枚ある。一直線に並べると地球を16周する長さになる。昼と夜をめぐる自転とともに、硬貨の列がキラキラ輝く。さぞ美しい眺めだろう。26歳のデザイナーは、空想に胸を躍らせた。 マット・デント氏が造幣局の新聞広告を…

「惰性」よい行いのはずだったのに変わっていく・・・春秋 八葉蓮華

「習慣というものは、悪いおこないにたいする感覚を麻痺(まひ)させてしまう化け物ではあるけれど、一方、よいおこないにたいしてもお仕着せを与え、次第に身につけるようにしてくれる天使でもあるのです」。ハムレットのせりふに、こうある。(小田島雄志…

トップ自らが社内でせっせと裏金づくり・・・春秋 八葉蓮華

オバマ大統領就任の興奮はなかなか収まらないけれど、これはこれで見過ごせないニュースである。準大手ゼネコンの西松建設前社長が外為法違反の疑いで捕まった事件だ。海外でひねり出した裏金の国内持ち込みに関与した、という。 「前社長」と報じられている…

リンカーン生誕から200年、新たな建国の夢を託されたオバマ大統領・・・春秋 八葉蓮華

原子力空母とクルマと深紅のバラと。三題噺(ばなし)のようで恐縮だが、ちゃんと共通点がある。答えは「リンカーン」だ。10万トンの軍艦もフォードの高級車も、そして強烈な香りを放つ大輪の1品種も、かの米国大統領の名をいただいている。 地名や大通りの…

新大統領への期待は期待は膨れ上がる・・・春秋 八葉蓮華

特別列車を仕立てて華々しくワシントンへ。たどり着いたその首都では数十万人が参じた祝賀コンサートで米国の熱い夢を語る。いよいよホワイトハウスに入るバラク・オバマ氏である。新しい大統領への期待は膨れ上がる一方らしい。 ホワイトハウスは大統領と家…

おみくじ巨大な市場、海外に輸出も・・・春秋 八葉蓮華

年初に神社や寺を訪ねた方は多かろう。1年の願いを込めて手を合わせた後は、やはり「おみくじ」である。半分は本気。だけど半分は遊び心。小さな紙に記されたメッセージは、宣告や審判ではなく、天界の「励まし」なのだそうだ。 全国に神社はおよそ8万、寺院…

大相撲 小屋掛けの野天興行から・・・春秋 八葉蓮華

明暦3年(1657年)正月18日、江戸市街の6割を焼き10万余もの死者を出す大火があった。振り袖火事ともいわれる。将軍家綱は多数の無縁仏供養のため隅田川東岸に「万人塚」を設け、後、この場所に両国回向院が建立された。 江戸後期に両国は第1の盛り場となり…

断ち切られた日々をつなぎ直し、あすへ未来へ・・・春秋 八葉蓮華

お天気は? 目覚まし時計は鳴るか。電車に遅れはないか。風邪っ気は大丈夫か。きのうからきょうにかけて、全国の受験生や家族がそんなこんなに気をもんだことだろう。志願者54万4000人に上るという大学入試センター試験があすまで2日間行われる。 それでも、…

「寒うなぎまつり」脂ののる冬の方が・・・春秋 八葉蓮華

今日は、正月とお盆の年に2度の藪入(やぶい)り。そして明日は土用の入り――と書くと「土用は夏だろう」と首をひねる向きもおありだろうが、理科年表「暦の部」を見ていただきたい。春夏秋冬4つの土用の日付が、ちゃんと載っている。 長野県岡谷市にある諏訪…

日々の生活のあれこれに小さな喜びを見いだす・・・春秋 八葉蓮華

どれも「たのしみは」と詠み出して「……とき」と締める和歌の連作「独楽吟(どくらくぎん)」を、作家の新井満さんが現代散文に「自由訳」し1冊の本にした。「たのしみは庭にうゑたる春秋の花のさかりにあへる時時」。52首中、この歌が一番のお気に入りだそう…

日本人が育んだ生き物たち・・・春秋 八葉蓮華

新旧2つの建物から成る東京・上野の国立科学博物館の旧館2階「日本人と自然」コーナーに有名な犬2匹がいる。白いのが忠犬ハチで、濃い茶色をしたほぼ同じ大きさのがジロだ。立ち姿の剥製(はくせい)につけた陳列説明はあっさりしている。 「カラフト犬(ジ…

偶然の産物にしてはあまりに美しすぎる・・・春秋 八葉蓮華

縁日の露店で輪投げに挑戦し万華鏡を手に入れた。久々にのぞくと、不思議な美しさに改めて驚く。筒を少し傾けて中を見る。無限の空間がある。筒を回すと、図柄が一瞬一瞬に動く。無限と瞬間が共存する――。哲学の命題のようだ。 顕微鏡で見るミクロの世界にも…

平成という時代とともに育って成人の日を迎えた・・・春秋 八葉蓮華

「道具は物でない。自分の心の尖端(せんたん)である」という言葉をある職人が残している。板前や大工なら道具はまず刃物だろう。刃物はすぐなまくらになる。だから腕が立つほどに、道具を大事にするため砥石にもこだわるようになるという。 「女房を質に入…

技術を磨き、いい物を作ることで農村は強くなる・・・春秋 八葉蓮華

シャンパンボトルの封を切りコルク栓をゆっくりと抜く。ポンという音と共にあふれたのは泡でも酒でもなく、焙煎(ばいせん)直後のコーヒー豆の豊かな香り。大手コーヒー会社役員を50歳過ぎで辞めた川島良彰さんが、一風変わったコーヒー豆の会員制販売を始…

「ニッポン再生」帰りなんいざ田園将に蕪れなんとす・・・春秋 八葉蓮華

「帰りなんいざ/田園将(まさ)に蕪(あ)れなんとす」。あまりにも有名な陶淵明の「帰去来の辞」である。中国東晋の時代というから約1600年前に、彼は官職に見切りをつけて故郷の農村へ戻った。詩には、土に生きる志と喜びがにじんでいる。 先行きの見通せ…

「天城越え」時を経ても消えない罪の重み・・・春秋 八葉蓮華

30数年前に殺人を犯しながら、今では印刷所を営んで静かに暮らす男。そこへ、不意に老刑事が現れる。こともあろうに、かの事件の捜査記録を製本してもらいにきたのだ。とっくに時効の古い話で、と笑う刑事を前に男は青ざめる。 松本清張の短編「天城越え」の…

すっかり耳にもなじんだ「平成」ヘイセイ・・・春秋 八葉蓮華

その2文字を目にした瞬間を鮮やかに覚えている。まだ昭和64年の、1月7日午後だ。「平成」。首相官邸につめかけた報道陣を前に、ときの小渕恵三官房長官が墨書をひょいと掲げてみせた。「新しい元号はヘイセイであります」 ああ、普通に読めばいいのか。張り…

100年をこえる。積み重なった憎悪は深い・・・春秋 八葉蓮華

イスラエル北部のハイファは丘陵からすぐ下に地中海が広がる、陽光あふれる港町だ。ここを舞台にしたガッサーン・カナファーニーの小説「ハイファに戻って」を読むと、パレスチナ紛争の根源が理解され、アラブ、ユダヤの民衆の悲しみが痛いほどに伝わる。 主…

官僚たちの戦い 回答文書を作り説明に走り回る・・・春秋 八葉蓮華

2001年の1月6日。省庁再編で厚生労働省や文部科学省など、新しい名の役所が誕生した。旧通商産業省の官僚は、名前が変わった後の略称を嫌がっていた。経済産業省は「経産省」。まるで「計算高い役所」のようではないかと。 8年たって、霞が関の仕事ぶりはど…

頭を柔らかく、心を広く・・・春秋 八葉蓮華

先週末、初詣での客でにぎわう埼玉県の鷲宮神社に足を運んだ。日本武尊(やまとたけるのみこと)ともゆかりの深い関東最古の大社。そんな公式の由緒より、若い人には、女子高校生4人組のほのぼのとした日常を描いた人気アニメ「らき☆すた」の舞台と言った方…

1人の活躍だけでは勝てない 連帯感や絆を感じさせる・・・春秋 八葉蓮華

早大のアンカーが芝・増上寺付近で疲労のため朦朧(もうろう)となった。その時、中村清監督が伴走車を降り「都の西北」を大声で歌って先導し優勝を飾った。これは半世紀も前の箱根駅伝のエピソードだが今年も正月の風物詩にドラマはあった。 例年にないほど…

『未来』たちがエルフのように飛び廻っている・・・春秋 八葉蓮華

「アメリカに大天文台が多いのは、ニューヨークの相場師が星うらないをして貰(もら)いたさに寄附(きふ)するからだ」。飛行機と宇宙を偏愛した昭和の異端作家、稲垣足穂が戦後すぐ発表した小文「天文学者というもの」にこんなくだりがあった。 本当なら、…

過去と未来に思いを巡らせばまた新しい景色が見えてくる・・・春秋 八葉蓮華

歳時記をひもとけば「初」を冠したいくつもの季語が出番を待っている。初明り、初茜(あかね)、初晴、初御(み)空(そら)、ひとまとめにして初景色。元旦のすがすがしい気分で眺めると、いつもの空も街も輝いて見える。希望に満ちた美しい言葉たちだ。 も…