サミットの舞台、大地震被災地「ラクイラ」世界の指導者が集結する・・・春秋 八葉蓮華

 「ラクイラ」という地名に首をかしげ、慌てて地図を開く。イタリア半島の中ほどにある人口7万人の小さな町。大地震が襲い、約2000人の死傷者が出たのは3カ月前だった。中世に栄えたこの自治都市が今年のサミットの舞台となる。

 もともとは地中海のリゾート地で開く予定だったが、ベルルスコーニ伊首相の鶴の一声で急きょ変更になった。被災地に各国の首脳を集めれば、復興支援につながると期待したようだ。壊れた町の中心部は封鎖が続く。ホテルが足りないので、麻生太郎首相もオバマ米大統領も警察の研修所に泊まる。風呂はない。

 開催地を移した理由がもう1つある。会議の運営を仕切る事務局長が、たまたま議長国イタリアの防災庁の長官だったからだ。現場で復旧作業を陣頭指揮すべき人物があちこち動き回れば、国内で評判が落ちる。いっそ各国の首脳の方を動かしてしまおうと決めたらしい。国内事情に振り回されたサミットである。

 ラクイラの地下深くには、ユーラシア大陸とアフリカ大陸を支える2つの岩板が衝突する地点がある。アドリア海から別の岩石層も押し寄せて、複雑な地殻変動のドラマを演じているそうだ。その大舞台の上に、世界の東西南北から政治指導者が集結する。壮大な地球のうごめきに負けない議論ができるだろうか。

春秋 日本経済新聞 7/7
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