若者離れ 人口が減っても上がる「長寿県」数字と結論との間で・・・春秋 八葉蓮華

 38年ぶりに首位交代。そのニュースにホウと思い、しばらくしてアレッと感じた。敬老の日を前に、毎年厚生労働省が人口10万人あたりの100歳以上のお年寄りの数を都道府県ごとに発表する。今年は常勝の沖縄をおしのけ、島根が74.37人でトップだった。

 メディアによっては島根を「長寿県日本一」などと書いた。なるほど神様に縁深い土地だと感心したのだが、考えだすと不思議だ。果たしてこのデータは何を言わんとしているのか、よく分からないのである。厚労省に聞いても、「長年目安として出していますが、何の目安かと言われても……」と歯切れが悪い。

 沖縄は去年に比べ人口が6千人増えた。島根は7千人減り、その分お年寄りの割合が増えた。逆転の一因はそこにある。長寿県といえば住民が長生きできるとの意味だろうが、この数字、例えば若者が県を離れて人口が減っても上がる。喜ばしいことではなかろうに。そう言いたくもなる。

 「数字と結論との間ですりかえが行われていないか注意する」。統計を読む知恵を説いたロングセラー「統計でウソをつく法」にこうある。島根に始まり埼玉の18.75人で終わる数字が何を意味するのか。埼玉の人はあまり気にしなくていい。5年前のデータでは、平均寿命は女性は42位だが男性を見れば15位だ。

春秋 日本経済新聞 9月16日
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