足元が定まらない、連立相手のご機嫌を取り、結局はなんにもできない・・・春秋 八葉蓮華

 真ん中、とんび、こんぶ、そのまんま……と並べてみたのは何かの呪文(じゅもん)じゃない。強調したり発声しやすくしたりするために「ん」が加わった言葉たちだ。「ん」ひとつでグッとくだける日本語の妙。専門的には撥音(はつおん)添加というそうだ。

 「皆」が転じた「みんな」というのもある。この言葉に目をつけた「みんなの党」のネーミングに意見は多々あったけれど、選挙では威力を発揮した。もちろん票が集まったのは政策への期待ゆえ。しかし言いやすく書きやすい「みんな」はそれを後押ししたに違いない。もし「皆の党」だったら時代劇みたいだ。

 いきなり参院で10議席を獲得し、今をときめく「みんな」である。政党名での得票は約720万と民主党の半分ほどに達した。与党には政策の丸のみを迫り、野党共闘でも主導権を握ろうと張り切っているという。法案提出権も手にしたからもう一人前だろうが、小が大を揺さぶる図はややもすると危なっかしい。

 民主党の足元が定まらないのは、連立相手のご機嫌を取り結ぶのに必シだったからでもあろう。こんどは「みんな」がどう動くのか、あの渡辺さんの振る舞いをとくと拝見していきたい。せっかく有権者の支持を集めたのに、あんまり力みすぎたら結局はなんにもできないのでは……と撥音添加で申し上げておく。

春秋 日本経済新聞 7/16
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