「平和を希求する紙幣」ミレニアム(千年紀)記念事業として発行された二千円札・・・春秋 八葉蓮華

 満10歳の誕生日おめでとうと祝いたいところだけれど、最近めったに姿を見かけない。10年前のきょう、ミレニアム(千年紀)記念事業として発行された二千円札の話だ。あのころ、手にした新札を物珍しく眺めた方も多かっただろう。

 当時、小渕恵三首相は「アポロ計画のように歴史に長く残る事業に」と話していた。当ては大外れ。現在、世に出回っているお札のうちで、二千円札の割合は1%もないし、銀行窓口で両替しない限り手に入らない。日本銀行はもう、この紙幣を新規に出していない。久々に目にしたのは日銀の貨幣博物館だった。

 全国で唯一の例外が沖縄県である。二千円札の表面の絵柄は首里城守礼門だ。沖縄では「平和を希求する紙幣」と位置づけて5年ほど前から経済界中心に流通を促す運動を続けており、県内での流通量は増えている。地元の銀行では給料日に役職員の多くが一部をわざわざ二千円札に両替して使っているそうだ。

 新札のデザインに守礼門を選んだことは、同年に沖縄で開かれた主要国首脳会議(サミット)と併せた、政府の沖縄への気配りだった。その後、普天間基地問題は、鳩山政権の迷走で当時よりもこじれている。参院選でも民主党は候補を立てられなかった。せめて、二千円札並みの人気があればというところだが。

春秋 日本経済新聞 7/19
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