電子のネットワークが広く浸透したいま、クリック一つで大規模な機密の漏洩・・・春秋 八葉蓮華

 オバマ大統領はさぞかし焦ったことだろう。アフガニスタン戦争に関する機密文書が、一挙に9万点以上も流出したというのである。立ち上がってわずか3年という民間ウェブサイト「ウィキリークス」が、ひとまとめにして公開した。

 政府や企業の内部告発情報などを公開するこのサイトは、一つのモデルとして1971年の「ペンタゴン・ペーパーズ」を念頭に置いているようだ。ベトナム戦争の実態を記した米国防総省の機密文書で、同省の元職員がニューヨーク・タイムズに持ち込んだ。その報道を機に米国世論は大きく戦争反対に傾いた。

 もっとも、今回の文書流出にはペンタゴン・ペーパーズと決定的に違う点が一つある。元国防総省の職員は家族や友人まで動員して文書を一枚一枚コピーし、ニューヨーク・タイムズに手渡したと語り伝えられる。それが今回は、電子情報として持ち出された。いわばクリック一つで大規模な機密の漏洩(ろうえい)が起きた。

 米軍がアフガン戦争の拠点とするパキスタンの軍情報機関が、アフガンの反政府武装勢力タリバンと癒着している。こんな疑惑がウィキリークスの暴露で表に出た。パキスタン重視のオバマ政権は対応に追われている。電子のネットワークが広く浸透したいま。もはや「知らしむべからず」では済まない時代だろう。

春秋 日本経済新聞 7/30
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