FRBバーナンキ議長「大胆な行動と独創的な発想」素早い金融政策・・・春秋 八葉蓮華

 「あなたは、たしかゴールドマン・サックス最高経営責任者(CEO)でしたが……」。勘違いした議員が質問を始めると当人はニヤニヤしていた。「いえ、私はプリンストン大の経済学部CEOでした」。公聴会は爆笑に包まれた。

 米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長は、ときどき悪戯(いたずら)っ子の顔を見せる。昨年の議会証言は今でも語り草になっている。サブプライム問題で凍り付いていた米議会の空気を、ひとことのジョークで溶かしてしまった。大物を詰問する見せ場に意気込んでいた下院議員は、気勢をそがれてタジタジだった。

 勤勉で静か。威圧感を感じさせない。成績がよいので驚いた。学生時代の友人の声によれば、どちらかというと地味な秀才タイプだったようだ。高校ではサックスを吹いた。4人おそろいで格子柄のズボンをはいて「ド派手なパンツ」という名のバンドを組んでいたというから、おふざけの素養はあったのだろう。

 機転を利かせた冗談のセンスは、素早い金融政策の判断につながるのかもしれない。任期切れを待たずに再任を発表したオバマ大統領は「大胆な行動と独創的な発想」とFRB議長の力量を評した。世界経済は最悪期を過ぎたように見えるが、この先のかじ取りは難しい。鋭敏な感覚が、重圧で鈍らぬことを祈る。

春秋 日本経済新聞 8/27
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