「日本という方法」日本の発展と生き残りにはアジアとの共存共栄が不可欠・・・春秋 八葉蓮華

 お盆の帰省に合わせ、故郷で墓参りをしてきた方も多いのではないか。田園に囲まれた瓦屋根のお堂、塔や山門。寺の風景は城跡や祭りと並び古い町になじみ懐かしさを誘う。しかし学校で習う通り仏教はもともと日本の宗教ではない。

 インドから中国、朝鮮半島へとアジアを席巻してきた異教にどう向き合うか。蘇我氏物部氏の崇仏廃仏論争は前者が勝つ。「結果からみて、当時の東アジア情勢を蘇我氏はよく読んでいた。国際性という観点から物部氏らは内政をみることができなかった」。歴史家の千田稔氏は近著「平城京遷都」で解説する。

 仏教という共通基盤を受け入れることで当時のグローバルスタンダード中国と交流、東アジアでの孤立を避けられたからだ。ただし旧来の神々も生活から消えず仏教と共存する。外来のものと既にあるものを昔から巧みに編集してきたのが日本だと、編集工学に詳しい松岡正剛氏は著書で説く。

 金融危機を契機に、日本の発展と生き残りにはアジアとの共存共栄が不可欠であることがはっきりしてきた。きのうの党首討論でもアジアを舞台にした成長戦略が問われたが、回答はもう一歩、明快さに欠く。アニメや韓流など文化の交流は進んだ。ヒトやモノも互いに扉を閉ざさず、開き合うことが成長を生む。

春秋 日本経済新聞 8/18
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