余計な出費「ポイント」をため、懐が豊かになった気がしない・・・春秋 八葉蓮華

 景気が悪いのに、財布が膨らんで困る。気をつけていないとどんどん分厚くなって、ポケットに入らなくなる。といっても、小遣い銭が増えたわけではない。店で買い物や飲食をするたびに「ポイント」をためるカードをもらうせいだ。

 試しに何枚あるか数えてみた。カレーうどん屋にレンタルビデオ店、量販電器店、CD、薬局、サンドイッチ、足裏マッサージ……。最初のスタンプ1個で挫折したままの回転寿司(ずし)を含めて、全部で20種類近くある。電卓をたたくと、ざっと4千円相当だった。結構な額だが、なぜかリッチな気分はわいてこない。

 フランスの経済評論家ジャック・アタリ氏が10年前の著作でこう予言している。「通貨は有力企業によって発行されるようになるだろう。企業通貨の相互交換も可能になり、早晩ほとんどの国家の通貨より強くなる」。あながち夢物語でもなさそうだ。日本国内のポイントの発行総額は今年1兆円を超えるという。

 ポイントで懐が豊かになった気がしないのは、集めるだけでは価値を生まないからだろう。期限内に点数を稼ぐために、余計な出費をすることもある。これは本当の需要なのかと、ふと首をかしげる。政府の「エコポイント」の効果で、省エネ家電の売れ行きが好調らしい。押し上げた消費の行方が少し気になる。

春秋 日本経済新聞 8/8
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