大規模な山火事、森は二酸化炭素を吸収し、多様な生物をはぐくむ、人にとって大切な空間・・・春秋 八葉蓮華

 ロシアの首都モスクワを、マスクで口や鼻を覆った住民や観光客が歩く。日本以外の国では一般に、風邪が大流行した時などですら、マスク姿で外を歩く人は珍しいそうだ。森林火災による大気汚染がどれほどひどいか、伝わってくる。

 今回は規模に加え、首都や穀倉地帯に近い西部が舞台となり注目度が増した。実は東部の森林地帯シベリアでは、多い年には日本の面積の半分ほどの森が火災で消えている。日本航空は7年前から、上空から火災を見つけた操縦士が本社経由で通報する活動に取り組んでおり、昨年は142件の実績があるという。

 主な原因はたき火やたばこの火の不始末。財政難による消火体制の縮小や、無秩序な違法伐採を一因として指摘する向きもある。もちろんこうした森林火災はシベリアだけの問題ではない。3年前と7年前には米カリフォルニア州で、10年余り前にはインドネシアやモンゴルで、それぞれ大規模な山火事があった。

 落雷による自然発火もあれば、放火や不始末など人の引き起こす災いもある。暑さが小さな火を大きく広げたこともあろう。森は二酸化炭素を吸収し、多様な生物をはぐくむ、人にとって大切な空間だ。日本でも昨年、2082件の山火事があった。前の年より件数で1割、焼けた面積で2割以上の増加だという。

春秋 日本経済新聞 8/13
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