半世紀の軌跡「新幹線」歴代の面々・・・春秋 八葉蓮華
昭和39年の東京五輪と新幹線は、記憶の同じ引き出しに入っている。五輪の開幕式が10月10日。直前の10月1日に東海道新幹線は開業した。熱気の中を世界最高速の「夢の超特急」が駆け、日本人は伸びゆく国の未来を思い描いた。
初代車両から最新型まで、先頭車の顔を見比べると、この国がたどった半世紀の軌跡がよみがえる。愛嬌(あいきょう)がある丸い鼻の「0系」は、それでも当時は流線形と呼ばれた。プラザ合意の9日後に営業運転した2代目は、細い目が少々不機嫌そう。2年前に就任した新鋭車両は、年輪を深く刻んだ大人の表情にみえる。
歴代の面々の中でも、とりわけ個性的な作品が「500系」だろう。ジェット戦闘機のように鋭い先端に、見覚えがある方は多いはずだ。円筒形で狭い車体はまるでSF映画の宇宙船。これほど思い切った形をした鉄道は世界にも例がない。外観を設計したのは日本人ではない。著名なドイツ人工業デザイナーだ。
登場は平成9年。日本経済がマイナス成長に向かって転げ落ちる時期に重なる。国を開き、外国人の知恵も借り、日本は必死で立ち直ろうともがいていた。不透明な時代に一筋の直線を描いて現れた500系は、経済危機に背中を押されるように、来春にも引退する。きょう発表の昨年のGDPの数字が気になる。
春秋 日本経済新聞 2/16
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