何もない土地でも「テーマパーク」いま地元が存続に知恵を絞る・・・春秋 八葉蓮華

 ディズニーランドが日本に進出するとき、候補地が2つあった。1つは千葉県の埋め立て地で、もう1つが風光明媚(めいび)な富士山麓(さんろく)。米ディズニーが選んだのは大都市に近い前者だったと、誘致した高橋政知氏が「私の履歴書」で振り返る。

 その成功は地方にテーマパークブームを呼ぶ。何もない土地でも「テーマパーク」なら全国や海外から客を呼べる。そんな期待からだ。実は東京ディズニーランドは都心からの便がよく、主な客も近場からで、再訪を誘うため遊園地と同様、追加投資も怠らない。しかしそうした経営手法の側面は、見過ごされた。

 1980年代後半から90年代にかけて各地にできたパークは、後に相次ぎ苦境に追い込まれていく。閉鎖により出資した自治体にかなりの借金が残された例もある。過剰投資といえばそれまでだが、多くの場合、何とか地元ににぎわいを呼ぼうと願う人々が開園に奔走し、若者らが懸命に働いていたのがせつない。

 長崎にハウステンボスが誕生したのもブームのさなか。見た目は古い町だが排水処理などに高度な設備を導入し「開業15年で無料開放し本物の環境都市にする」と創業者は夢を語った。しかし目算は狂い、いま地元が存続に知恵を絞る。志や楽しさと、そろばんをどう両立させるか。レジャービジネスの難しさだ。

春秋 日本経済新聞 2/6
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