買い物は先送りがお得。それが若者の常識・・・春秋 八葉蓮華

 若者はなぜ自動車を買わなくなったのか。自動車メーカーで販売戦略に携わる人が、ある研究会で理由をあげた。所得の減少。公共交通の充実する都市部への人口集中。未婚率の上昇。こうした要因に加え価値観の変化も大きいという。

 「デートにクルマはいらない」「クルマに金をかける男はダサい」と言う女子大学生。「友人を乗せて事故などの責任を負うのが嫌」「税金や駐車場などにいくらかかるか分からないのが不安」と言う男子大学生。市場調査で集めた生の声に、クルマ好きが多い自動車業界の大人たちは大きな衝撃を受けたそうだ。

 借金をしてでもクルマを手に入れ、仲間や恋人とぶっ飛ばす。昔の映画のような青春像へのあこがれは乏しい。自動車だけではない。今の若者は上の世代と違って「3K商品」に関心が薄いと、マーケティングを研究する松田久一さんは近著で語る。3Kはクルマ、カデン(家電)、カイガイ(海外)旅行を指す。

 消費にまったく興味がないわけではない。ファッション、ゲーム、情報機器、家具、外食への関心は高い。日常的で事故とも無縁。しかも、買う時期を待てば値段が下がるものが多いと松田さんは言う。値段は下がる。買い物は先送りがお得。それが若者の常識だとすれば、財布を開いてもらうのは容易ではない。

春秋 日本経済新聞 12/7
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